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用語集

あ行

アンドラゴジー
1970年代に、成人教育の理論家であるノールズ(Malcolm Knowles)によって確立された概念である。提唱者のノールズによると「成人の学習を援助する科学と技術」であるとしている。ノールズのアンドラゴジー理論は、次の4つの基本原理で構成されている。
<アンドラゴジーの4原理>
① 自分たちが学ぶことについてその計画と評価に直接関わる必要がある(⇒自己概念と動機付け)
② (失敗も含めた)経験が、学習活動の基盤を提供する(⇒経験)
③ 自分達の職業や生活に直接重要と思われるような学習テーマに最も興味を示す(⇒レディネス)
④ 成人の学習は、学習内容中心型ではなく、問題中心型である(⇒学習への方向性)
インストラク
ショナルデザイン
学習者の「学び」を引き出すための仕掛けで、学習ニーズの分析とシステマチックな授業の設計を行い、細かく区切られた学習・教育の単位である「インストラクション」を設計することである。特に学習者の自由度を保ちながら、高い学習効果を得られることを意図して計画することをいう。
IDは、Instructional Designの略称。
インヒビター
「抑制者」(Inhibition:抑制する)を意味する。「無原則なまでの甘やかし」や、「必要以上・無条件に背中を後押しし続ける」といったインストラクションは、かえって学習者の自律や向上心を衰退させ、学習を阻害する原因になりうる。そのため、講師は、ときには学習者に対して厳しく立ちはだかることも学習を促進させるために必要な手段である。
LH効果
「学習性無力感」は、学習性絶望感ともいわれ、「Learned Helplessness」、「LH効果」とも表される。1960年代にセリグマン(Martin Seligman、心理学者)が発表した。長期にわって抵抗や回避困難なストレス・抑圧の下に置かれると、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるというものである。元々は、拉致監禁被害者や、長期の家庭内虐待の被害者などの行動心理であり、人が長いこと監禁されたり、暴力を振るわれたり、自分の尊厳や価値がふみにじられるような状況の症状を説明したものである。しかし、教育においても同じ状況が発生しうる。
<学習性無力>
① 被験者は、その圧倒的に不愉快なストレスの中から、自ら積極的にその状況から抜け出そうとする努力をしなくなる。
② 実際には、少しの努力でその状況から抜け出せる可能性があると分かっていたとしても、努力すれば成功するかもしれないという事すら考えられなくなる。
③ 何もできない、何をやっても功を奏しないという状況の中で、情緒的に混乱をきたす。

か行

カークパトリック
の4段階評価法
1950年代後半に、カークパトリック(Donald Kirkpatrick、経営学者)が提案した教育の評価法モデルで、学習者の満足度を測る「反応」(Reaction)、理解度を測るための「学習」(Learning)、学習者の行動の変化を図るための「行動」(Behavior)、組織に対する学習成果を測る「成果」(Results)という4つのレベルから評価する手法である。
<カークパトリックの4段階評価法>
① レベル1:反応(Reaction)…受講後のアンケートなどによる研修に対する満足度評価
② レベル2:学習(Learning)…筆記試験やレポートによる学習到達度評価
③ レベル3:行動(Behavior)…インタビューや他者(上司等)による行動変容評価
④ レベル4:成果(Results)…研修受講による職場・組織の業績向上度評価
ガニェの
9教授事象
「授業設計理論の父」として知られるガニェ(Robert Gagne、学習心理学者)が提唱した教授方略である。授業や教材を構成する指導の過程を「学びを支援するための外側からの働きかけ」と捉え、認知心理学の情報処理モデルに基づいて、学びのプロセスを支援するための構成要素を「9教授事象」とした。
<ガニェの9教授事象>
① 学習者の注意を喚起する、② 授業の目標を知らせる、③ 前提条件を思い出させる、④ 新しい事項を提示する、⑤ 学習の指針を与える、⑥ 練習の機会をつくる、⑦ フィードバックを与える、⑧ 学習の成果を評価する、⑨ 保持と転移を高める
KT法
「KT法」は、ケプナー(Charles Kepner、社会心理学者)とトリゴー(Benjamin Tregoe、社会学者)の共同開発によって生まれたラショナル思考(論理的、体系的、かつ分析的にものごとを考える方法)である。問題解決と意思決定の思考プロセスを体系化し、思考業務の効率化や円滑化を図る問題解決技法で、「状況把握」(SA:Situation Appraisal)、「問題分析」(PA:Problem Analysis)、「決定分析」(DA:Decision Analysis)、「潜在的問題分析」(PPA:Potential Problem Analysis)という4つのプロセスから構成される。各プロセスで所定の手順に従って問題解決や意志決定を進める。
コーチング
「コーチング」(Coaching)は、「相手の自発的行動を促し、その人が本来持っている能力や可能性を最大限に発揮させることを支援する技術」である。コーチングはもともとスポーツ界から派生した概念で、1980年代後半に、対話を通じて自発性を引き出し、目標を達成できるよう動機付けしていくコミュニケーション手法へと発達した。
コーチングには大きく分けて「メンタルコーチング」と「スキルコーチング」の2種類がある。
「メンタルコーチング」は、相手(コーチングを受ける側)の情報整理を支援し、異なった視点を提示したり、発想の転換を促したりすることで、「気付き」を持つ。そのため、対象となる分野に対するスキルが無くても、コーチングを行うことが可能である。
「スキルコーチング」は、スポーツにおけるコーチのように、コーチングする側がその分野に対しての豊富な知識と経験、スキルを持ち、それをベースにして個人のスキルの向上を目指す。目的がはっきりしていることや、適切な課題設定ができることから、メンタルコーチングと比べて大きな効果が期待できる。

さ行

SWOT分析
「SWOT分析」は、主にマーケティング戦略や企業戦略立案で使われる分析のフレームワークで、「組織の強み」(Strength:S)、「弱み」(Weakness:W)、「機会」(Opportunity:O)、「脅威」(Threat:T)の4つの軸から評価する手法である。
SWOT分析の目的は、その企業・組織が持っているビジネス機会や外的脅威などの「外部環境分析」と、コアコンピタンスや組織体制などの「内部要因分析」から、自社の位置づけを総合的に判断することにある。
「外部環境分析」は、「機会」と「脅威」の中でそれぞれ、経済状況や技術革新などの「マクロ要因」と、自社の顧客や競合他社との関係、予測されるビジネス機会といった「ミクロ要因」に分けられる。
「内部要因分析」は、その企業がもっている有形・無形の経営リソース(人材、金、技術、IT環境、情報、拠点など)について検討し、強み・弱みを分析していく。

た行

できばえの品質
教育研修(集合研修)でいう製造品質である「できばえの品質」は、一言でいってしまうと、講師の力量で決まるといってもよい。「ねらいの品質」が盛り込まれていなくても、講師に学習者の学びを支援・促進できる力量さえあれば、研修は成立するということである。
しかし、それでは品質が保証されることはない。
製品を設計に適合させ、また、設計特性及び価値を顧客及び他の利害関係者に提供する活動において、日々一貫性を維持することによる品質が、製造品質なのである。
そのために研修を講師任せにすることは許されない。
講師という仕事は、最もコミュニケーション能力が要求される職業の一つであり、例えば、新しい技術を知っているからといって、そのまま研修の場に講師として立たせているようでは、到底「できばえの品質」は保証できるものではない。
教授法として、基本的なインストラクション(指導)のスキルに加えて、ファシリテーション(学習者への学習支援)スキルが必須である。学習転移モデルに見られるような学習者への一方的な知識伝達ではなく、状況的学習論、正統的周辺参加に見られるように学習者を主体として、いかに学習者に気付かせるかが重要である。
すなわち、設計段階で、講師のファシリテーションスキルを前提としたレッスンデザイン(授業設計)がなされていなければならないということである。
動機付け理論
「動機付け理論」(2要因理論)は、ハーツバーグ(Frederic Herzberg、心理学者)が1960年に提唱した。従来の科学的管理法などが不満要因のみしか捉えられていないとして、仕事上の満足感に影響を与える要因を挙げ、面談によって調査を行った。
この結果によって、人間の満足感・不満感に関わる要因は、それぞれ異なるグループであることを発見し、満足感へとつながる要因を「動機付け要因」(満足要因)、不満感へとつながる要因を「衛生要因」(不満要因)とした。
<動機付け要因と衛生要因>
<動機付け要因>…モチベーションの形成につながる
「達成」…自らが仕事を成し遂げる
「承認」…自分自身や仕事が認められ評価を受ける
「仕事」…仕事そのものや仕事ができることに満足をする
「責任」…仕事などに対して責任を負うこと
「昇進」…社会的に威信のある地位につけること
「成長」…技能的、人間的な成熟
<衛生要因>…不満の矛先となり得るが、満足感へはつながらない
「賃金」…仕事の給与
「付与給付」…福利厚生など
「作業条件」…職場の環境や就労条件
「経営方針」…会社の経営方針
「人間関係」…職場内の人間関係、上司同僚との関係

な行

ねらいの品質
教育研修(集合研修)でいう設計品質である「ねらいの品質」は、通常、カリキュラムという形で表現される。しかし、現状、多くのカリキュラムでは「ねらいの品質」をみてとることはできない。「市場の要求と機会に合致し、顧客及び他の利害関係者に価値を提供することができる品質特性をもつ」設計図になっていないことが多い。
「何ができるようになるのか」、「何によって身につけられたかとうか確認するのか」、「どう学んでいくのか」という、学習者や人材育成責任者などその教育(研修)に関わるすべての人が当然抱くであろう疑問が、まずは当たり前にカリキュラム上に明記されていなければならない。
「ねらいの品質」を盛り込み、ID理論の「メーガーの3つの質問(学習目標、達成評価(評価方法)、学習方法)」に応えたカリキュラムとしては、最低でも次のような内容が記載されるべきである。
<カリキュラム内容として記述されるべき項目>
1.研修コース全体
・コース名(タイトル)、研修目的
・日程(タイムスケジュール)
・研修対象者、学習者数
・学習者が作成する成果物、評価基準
・アンケート内容(事前アンケート、講座内容アンケート、最終研修アンケートなど)
2.学習内容 ・学習テーマ、学習目標、到達レベル
・学習項目、学習要素、学習形態(講義、演習、グループワークなど)
・標準所要時間(タイムテーブル)
・学習成果物
3.研修費用(コスト)
 -省略-
ノンバーバル
コミュニケー
ション
「非言語コミュニケーション」のことであり、言葉以外の手段を用いたコミュニケーションである。ノンバーバルコミュニケーションには、「表情」、「視線」、「顔色」といった表情に関するもの、「身振り」、「姿勢」などの振る舞いに関するもの、「服装」や「髪型」といった外見に関するもの、「声のトーン」や「声質」などの声そのものに関わるものなど、その種類は非常に多義に渡る。

は行

P-MARGE
成人学習学の特徴を端的に表したものの1つで、成人学習の「自律性」や「動機付け」「共同学習」「学習者同士が相互に学習資源となる」ことが挙げられている。
「P」…learners are Practical.(成人の学習者は実利的である)
「M」…learner needs Motivation.(成人の学習者は動機を必要とする)
「A」…learners are Autonomous.(成人の学習者は自律的である)
「R」…learner needs Relevancy.(成人の学習者は関連性を必要とする)
「G」…learners are Goal-oriented.(成人の学習者は目的志向性が高い)
「E」…learner has life Experience.(成人の学習者には豊富な人生経験がある)
PBL
複数の学習者同士でプロジェクトチームを組み、学習者自身が主体になりながら、自律的・自己主導的に問題解決を行っていく。その過程で洞察や観察、対話・交渉・合意形成といったコミュニケーション、省察や内省などを繰り返し、学んでいくという教育手法である。
PBLは、「Problem Based Learning」(問題解決型学習)と定義される場合と、「Project Based Learning」(プロジェクト型学習)と定義される場合とがある。
(A) Problem Based Learning…「問題解決型学習」。学習者が主体となり問題解決にあたる。
(B) Project Based Learning…「プロジェクト型学習」。プロジェクト遂行の中で学ぶ。
ファシリテーション
「ファシリテーション」(Facilitation)は、「グループを対象にしたコーチング」と呼ばれる事もある。元々の意味は「容易にすること」「助長」「促進」などだが、一般的には、ある目的に向かって、グループでの作業がスムーズに運ぶように媒介する技術の総称で、会議のための技法ととらえられることが多い。
教育という場で考えると、教育効果の点でも、また、学習のモチベーションという点でも、「難しい問題を自分で解決できるようになる」ことが最大の命題といえ、分かりやすくするために、問題を簡単にするというのでは、本末転倒である。
講師は、常に学習者を主体にしながら(問題そのものではなく学習者への働きかけによって)、自律的な問題解決ができるように支援することが教育におけるファシリテーションといえる。

ま行

マグレガーの
XY理論
1960年代にマグレガー(Douglas McGregor、心理学者・経営学者)は、著書「企業の人間的側面」の中で、人間に対する2つの対立的な考え方を「XY理論」として提唱した。マズローの「5段階欲求説」を基にして説明されている。
XY理論に境界はなく、人間はX-Yを繋いだ線上にある前提で、X理論は低次元の欲求を多く持つ人間の行動モデルに分類される。人間は本来怠けたがる生き物であり、放っておくと仕事をしなくなる」という「性悪説」の考え方であり、命令や強制、懲罰といったいわゆる「アメとムチ」の管理手法を用いる。一方、Y理論は高次元の欲求を多く持つ人間の行動モデルに分類され、人間は本来進んで仕事をしたがる生きものであり、自己実現に向かって自ら行動するという「性善説」の考え方となる。この場合は、「統合と自己統制」を尊重した管理手法が有効であるとしている。
マグレガーは、低次元の欲求が満たされている人(高次元の欲求を多く持つ人)に対してはX理論による経営手法の効果は期待できず、Y理論に基づいた経営方法が望ましいと主張した。
モチベーション
いわゆる「動機」(動機付け)のことである。行動を立ち上げ、なんらかの目標に向かって維持・調整する機能であり、人間は生理的・心理的・知的なプロセスの組み合わせによって活動するが、その原因・要因となるのがモチベーションである。
1970年代に、ハックマン(Richard Hackman、産業心理学者)とローラー(Edward Lawler、産業心理学者)は、職場・職務において、以下に挙げる6つの特性がモチベーションを高める働きをするポイントであると考えた。
<モチベーションを高める6つの特性>
① 多様性…仕事のなかで、作業をする人に必要とされる操作の多さや幅の大きさが充分かどうか。また、仕事で用いる道具や手続きの多さは充分かどうか。
② 自律性…仕事をする人が、計画を立てたり、方法を選択したり、手続きを決定するに際して、自らの意見を反映できるかどうか。
③ タスク・アイデンティティ(職務の認識)…仕事をする人が、仕事の全体を見渡し、その重要性や自らの役割を認識できるかどうか。
④ フィードバック…仕事において、どのように考えたり行動したりすると、どのような結果や成果が得られるか。また、それらの成果が仕事をする人にとって有意義かどうか。
⑤ 他者との関わり…仕事を完成させるために、他者(同僚や上司、顧客など)との関係を必要としているかどうか。
⑥ 友人形成の機会…仕事をする人が、仕事中に互いに話しあったり親しくなったりできる機会があるかどうか。

や行

ら行

レッスン設計書
1日ごとの授業内容・教授方法を示したものである。設計する単位については、研修が1日のみ(1回のみ)の場合は、例えば90分を1コマとして設計するなど、最適な粒度を選択する必要がある。1日(または1コマ)ごとに学習テーマやその日の到達目標、必ず抑えておくべき重要なポイント、教示内容とその方法、展開を明確に示す。「できばえの品質」(実施段階でのファシリテーション)を意識した設計が必要である。

わ行

WPL
ワークプレイスラーニングの略称で、個人や組織のパフォーマンスを発揮させる目的で、職場での実務を通じて自然に学習できる仕組みや、他人との実務経験に基づく共感的な対話などを行う場を通じて経験代謝する等の方法で実施される統合的な学習方法のこと。